迫り来るその時-1-2   水道公論2014年12月号
●悲劇の始まり 2024年7月
 西の島の火山活動が落ち着いた翌々年の2020年に伊豆半島南南東約50kmのところにある神津島の火山活動がはじまった。
 18平方キロの比較的平坦な島であったが、東京オリンピックの2020年夏、紀元838年以来の噴火がはじまった。噴火は西海岸の港近くに新たな火口の島ができ、はじめ活動はゆるやかであったが次第に激しさを増し、島が陸続きになった2021年のはじめ、在住人口1600人全島避難の事態になった。その後火口は3箇所になり火山活動はもっと激しくなり、島の面積は2023年に1.5倍の27平方キロにもなり、式根島と新島にも火砕流が及ぶ恐れがあるとして全島避難の事態となった。
 島はその後も噴火活動が衰えることなかったが、2024年始めに少し落ち着いたので、式根島、新島住民から帰還要望が出ていた。しかし、その年7月に大爆発を起こした。
 火砕流は30kmに及び、式根島と新島まで押し寄せた。新島の火山観測基地の職員はシェルターによって救われたが、付近を警戒巡視中であった巡視船2隻、LNG船2隻、コンテナ船2隻、油槽船1隻が行方不明となった。
 降灰もひどく、三宅島で1m、大島で50cmをはじめ、中部地方、関東地方、東北地方に及んだ。
 爆発時の津波は、静岡県を中心に甚大な被害をもたらした。爆発時に残った東側の旧島と伊豆七島が防波堤になり東側への影響は少なく、相模湾と東京湾では津波は小さかった。西側も一部の外輪山が残り、津波は小さくなった。壁が出来たことにより北西方向の津波は増幅され、北西に当たる伊豆半島南部、静岡県中西部と、愛知県に押し寄せた。浜松で15m、名古屋で3mの津波が襲来した。