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1,はじめに メリダはスペイン中西部ポルトガルの国境近く、グアディアナ川に面し、紀元前25年頃退役軍人の為に建設されたローマの遺跡が至る所にある落ちついた人口4万人の街である。ローマ時代には重要な道路拠点であった。なおコーヒーで有名なメリダはベネズェラ西部の州及び州都である。
マドリッド南西3百キロの山地から発し、西に流れメリダを通り、70km先のポルトガル国境で南に向きを変え国境沿いに流れ大西洋に注ぐ国際河川。メリダ付近では日本の川と同じように広い河川敷があり、人々が散策する公園になっていた。上流には大きなダム湖が二つ、下流にも大きなダムがあって、重要な水資源のようで、雨の少ないスペインにあって、水も豊かであった。河川敷公園は、遊歩道が設けられ、遊水池のように広い水面が展開している。公園の中にあるローマ橋は約800mあり、旧市街から川向こうへ渡るもので、今は人道橋として使われている。橋の旧市街側には昔要塞があって、川沿いに高い城壁が設けられていた。
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もう一つのサン・ラサロ水道橋は東北からの水を引いていたものでバスから見るだけであったがレンガは入っていなかった。地図で見ると600mくらい延びているが、ローマ時代から残っているものは柱が3本だけでレンガの縞もあり、今のものは16世紀に昔の水道橋を壊してつくったもののようである。
ここでは地形をうまく利用した円形競技場と劇場が隣り合っていて、双方ともによく保存されている。円形競技場は収容能力1万5千人と大きい。紀元前8年に完成してもので、観客の動線を考えて設計してあり、出入りの通行が周辺の住居地域に迷惑にならないような専用通路も通している。 競技場中央に丸い広い溝があり、水路から水を入れて模擬海戦ができるようになっていた。猛獣の部屋も残っている。 ローマ劇場は6千人収容する半円形の観客席の劇場で、紀元前16年にアグリッパにより建設された。舞台近くの床や壁は音響効果を上げるため大理石張りになっていて、舞台の後ろには神々や皇帝の像が置かれていた。 劇場の舞台裏に公衆トイレの遺跡が残っていた。ローマ時代の競技場や劇場は各地に残されているがトイレまで残っているのは珍しい。 トイレの遺構は、L型石部材の2平面に、つながった丸い穴を開けたもの。写真では丸い便座の穴が6個並んでいる。便座の下は水路になっていて水が流れていたようである。便座の前の穴は海綿や葉っぱでお尻を拭くためのものとのこと。手前に手洗い用の細い水路がある。トイレは建物の中に入っていたようで、建物基礎長さの感じからすると穴は50個くらい並んでいたと思われる。1万人以上の人が集まる場所なので、トイレの規模も相当大きくなくてはならない。 このように生活に関連する遺跡の復元がもっと増えて欲しいものである。 |