逆転の思想−172        目次
              水道公論2017年10月号


 報道の立ち位置
 駅伝などの中継テレビ放送で先導役の警察白バイの運転手名をいつも報道しているのが気になる。ボランティアでなく警備の勤務として従事しているのだろうし、スポーツ番組の報道で大会運営責任者の名前も出さないのが普通であるのに、何故白バイ運転手の名前だけ出すのは何故だろうか。他愛ないことかもしれないが。
 心に引っかかるのは3月25日に総務副大臣が台北で日本の地域の魅力を発信するイベントに出席したことについての報道で、NHKと日経では中国が反発する可能性があるとコメントしていたことである。
 断交後、公務で台湾に出かけた最高位高官だそうでこれは報道になるだろうが、なぜ中国が反発する可能性というコメントを入れたのか気になる。
 反発してから報道するのが普通であろうし、こんなことまで大国がいちいち文句を言うのかというコメントが出てくるのが自然であるが、反発を期待している雰囲気である。反発されたら予想通りと報道するのであろうか、何処の国の報道機関か分からない存在である。
 隣国のミサイル発射や、威嚇報道などをああでもないこうでもないと大きく時間を割いているが、大騒ぎさせるのが目的であり、それに見事に乗っかっている。
 中東の渡航禁止地域で日本人が誘拐されると大騒ぎするが、温泉の調査で出かけた会社員がスパイ容疑で拘束されたことは大事件で、連日報道すべきものであるのにおざなりにしか扱わない。
 中東の危険地域で拘束された人は大きなリスクを覚悟していたのに、温泉調査で行った人は業務で出張した普通の人であり、はるかに危険な異常な事態である。法律があってないような、政府の意向で白も黒にしてしまう国であるので、罪をでっち上げられるかもしれない、ISよりももっと怖い拘束であるのに騒がないのが不思議である。
 NHKは今年のダライラマの訪日も報道しなかったようである。隣国の少し大きな交通事故まで報道しているのに何故だろう。抑圧された国の元代表であったことから、報道すると何かで意地悪されるから遠慮しているという印象を受ける。たまたま比較できる情報があるので分かるが、こういうことが多数あるのでないだろうか。
 政府の些細な干渉に大反発して報道の自由は声高に主張するが、特定の外国の押しつけに従ったり、気を使って報道しているように見え、大変恐ろしく感じる。
 英国ケンブリッジ大の研究誌でチベットなどの一部論文へのアクセス禁止を求められたそうだ。こうい文章を書いていて、十年後に突然拘束収監されることがなければいいが。