逆転の思想−175        目次
              水道公論2018年2月号


 本業の影
 預金の利息が限りなくゼロに近い状態が長く続いている。インフレでないのがまだ幸いであるが、新たな収入源のない高齢者階層は貯蓄が次第に減っていくので、焦らざるを得ない。
 お金が果実を生みにくい社会では預金を運用して収益を上げる金融機関も困っていると思われるが、最近テレビなどで大手銀行や系列会社の金融商品販売などによる財産運用のPRが多いのが気になる。広告費用も結構かかっているのだろう。
 投資信託や外国債券だけでなく資金を一括して債券、投資信託、株式などで運用してもらうラップ口座なども宣伝している。ラップ口座といえばリーマンショック前の景気がまあまあだった頃、金融商品の成果がいい状況にあったので証券会社がこれらの実績をもとにしきりにPRしていた。これに乗ってお金を預けた人々はリーマンショックによって、高値掴みした資産が大幅に減ったのでないだろうか。
 お金がお金を生まないゼロ金利がこれだけ長く続くのはかってないことであり、景気も良くないはずであるが、企業は利益を上げていて、求人も多い。また利益が上がっているので新規投資も行っているし、株式配当も払われていて、企業の株式を持っている限りはお金がお金を産むという普通の状態になっている。
 投資は何らかのリスクがあるものでなので、そのことを考えながら運用しなければならない。東芝の危機で、大幅な資金不足であるのに結局大手銀行は融資の回収ばかり考えていて、対策の主役でなかったようである。
 融資が焦げ付いた場合、担保の不動産で穴埋めする安全策でしか運用してこなかったので、預金をうまく運用できないのだろうか。
 銀行利子率がゼロに近づいている状況であるから、ラップ口座などを開いても収益は望めず、手数料だけ取られるように感ずる。
 つまり、いい金融商品があったら、資金を潤沢に持つ銀行が購入し運用するであろうから、それをしないで他人に購入を勧めるというのは投資詐欺を連想させられてしまうように感ずる。
 消費者金融をはじめ、金融商品販売などまでやらなければならないということは大手銀行も厳しい状況にあって、なりふり構わないということなのだろうか。
 最近気になることの一つに、私鉄で座席指定の列車を新たに運行する動きがある。よく利用している地下鉄東西線の朝の混雑を思うと、座席指定列車をダイアに入れるなら、普通列車を増発して混雑をできるだけ解消するのが本筋と思うが、その私鉄は混雑がないのだろうか。