逆転の思想−180        目次
              水道公論2018年7月号


 ITと個人情報
 インターネットで欲しい商品などを検索して見たあと、別のページを見ていると検索商品やその関連商品の広告が入るのが気持ち悪い。ということは自分の使っているパソコンが何を見ていたかページ管理者に記憶され、次に広告が入り得るページを開けたことを察知して広告を滑り込ませることをしているだろうから。パソコン使用者の各種情報も把握しているのだろう。
 こんな広告を見るとかえって反発されてしまうと思うが、広告を滑り込ませることでなにがしかの広告料が管理者に入っているそうで、見るたびにお金が動くのがテレビのコマーシャルと大きく違う。
 調べ物などで検索すると、対象のURLでない、広告料を払っていると思われるものが先に出てくることなど、独占によって勝手なことをしているように見える。
 まさに、「タダほど高い物はない」ことのレベルがますますひどくなっている。
 フェイスブックのような不特定多数の人が交流をはかるSNSではネットの管理者に友人関係や個人の趣味趣向などが把握されている。これのビッグデータを解析すれば、相当詳細な個人情報を把握できることになる。
 このたびフェイスブックの漏洩問題が明るみに出た。これは、2014年頃に、ある学者が、心理クイズアプリを作成し、フェイスブックで公開したが、そのアプリでは利用者同意のもとで個人情報と友人関係情報が送られるようになっていて、、ダウンロードユーザーとその友人ら約8000万人分の情報が取得された。その情報は英国の情報会社に渡り、それを利用してトランプ陣営をはじめ複数の選挙活動をサポートしたというものらしい。心理クイズアプリ利用者は約三十万であったが、フェイスブックネットにより、友人など八千万人もの個人情報が取得されていた。ハッカーでなく会社関係者が悪用していたものである。
 フェイスブックではこようなことを起こさないように対策を打っているというが、はなはだ疑わしい。
 現代社会では、情報の世界が全く戦争状態にあり、他国の重要情報をハッキングしたり、政府機関や大企業の業務を停止させたり、多額の銀行のお金をかすめ取ったりしている。
 自国民の情報はともかく、他国民の情報をいかに取得し、使用しても犯罪にはなりにくいであろう。
 隣国では、すべての国民が登録され、個人情報や、監視カメラによる行動把握など何をしているのかなどあらゆることが国家に掌握されるような恐ろしい社会になっているらしいが、個人情報保護などと公的団体の行政実務の枝葉末節のことで騒いでいる間に、ブラウザーなどを支配する外国企業にあらゆる個人情報が集められているという方がよほど怖いのでないだろうか。