逆転の思想−183        目次
              水道公論2018年10月号


 交通インフラ改善の不均衡
 日本橋の上を走っている首都高速道路を地下化しようという話が進んでいるらしい。数年前に持ち上がったと思われるが進展が早いように感ずる。
 由緒ある日本橋の上にかぶさっていて鬱陶しいなど世論を誘導して進んでいるらしいが地下化には莫大なお金がかかると考えられ、この動きの裏には周辺を大規模に再開発しようという巨大な不動産会社の匂いを感ずる。
 日本橋駅の周辺は巨大なビルがどんどん建設されている。
 かたや日本橋のすぐそばを通る地下鉄東西線は、猛烈な混雑状態が長期にわたり続いていてしかも悪化を続けている。
 帰宅時間でも荒川を渡った先の西葛西駅で混雑して他の乗車口を利用するよう放送があるほどで、なにかのトラブルで数分遅れると殺人的な混雑となる。西と東でJRと乗り入れをしているので、JRでなにかトラブルがあるとすぐ影響を受ける。総武線も東西線との平行区間で同じように混雑がひどい。問題なのは抜本的な解決案が検討もされていないように思われることである。
 南砂町駅でホームを増設する工事が実施中で、新幹線のように前の列車が乗降のため停止しているとき隣のホームに次の列車を入れることができ、ラッシュ時のダイアで1編成くらいは増やせるようであるが全然足りないであろう。豊洲から北に有楽町線を延ばす計画もあるが東西の交通の助けになるだろうか。 最近日本のいいところばかりを外国人に褒めてもらう番組が多いが、通勤ラッシュのようなおかしなことがけっこうあり、取り上げてもらいたいものである。せめて回りに迷惑をかけずにスマホを操作することができる環境になればいいのであるが。
 スーパー堤防がいつまでたってもできないと揶揄されたがこちらは何時かはできることが見込める。事業の難しさがいろいろあるだろうが輸送力増強のため私鉄で実施されている複々線化、またいくつもの駅でのホーム増設、また実施が容易に思える運行システムのIT化などのことが聞こえてこない。
 今年慨成した小田急の複々線化事業は1964年に計画され、工事着手は1989年で工事着手から29年かかっている。
 地下鉄大江戸線は1968年に計画され、その後計画内容が変更され、1986年に工事着工した。都庁が相当力を入れた結果だろうが全線開通は2000年と早くできている。それでも鉄道事業は着手から長年月かかるので計画もない状況では現在痛勤している人々は退職の頃まで見込みが全くないと言うことになる。
 自分は無駄がないように時間を使っているわけではないが、残された人生の時間があと少しと思うと、これまで通勤に無駄に使われた膨大な時間について悔しい思いがつのるばかりである。