逆転の思想−185        目次
              水道公論2019年1月号


 カタカナ語の氾濫
 公共放送テレビの番組タイトルで意味が分からないザッピングという言葉を使っている。なんだろうと辞書を引くと、急に動かす、 急に強く打つという動詞ザップzapの現在分詞で、リモコンでチャンネルを頻繁に切り替えながら視聴する行為も意味するとあった。後者の意味で、かっこ良さそうに聞こえるのでこの言葉を使うのであろうが多くの人はその意味が分からないと思われる。
言葉使いについて過去2回載せていただいたが、気になるので再度書かせていただいている。
 カタカナ語の増加は続いている。いつの間にか台所という言葉が死語になり、至る所でキッチンと呼ばれている。また意味が分からないカタカナ語も飛び交っている。
 公共施設の呼び名も同様である。東京の顔の一つとなりつつあり、海外からの観光客の多い東京スカイツリー、東京ゲートブリッジや東京がつかないレインボ−ブリッジなど皆英語のカタカナばかり。東京という固有名詞がつく場合、省かれることも多いのだろうが、独自性はでる。それがない夢(虹のあやまり)の橋はどうであろうか。
 国際化が進む一方で、カイゼン、イキガイなど、日本語が国際語になっていることもある。
 2000年の国語審議会答申では、読み手や聞き手の理解に対する配慮を欠いた外来語・外国語の使用や、不必要に表現をあいまいにするような外来語・外国語の使用は望ましくないとしている。
 公共施設の名称では大江戸線という名前が救いである。また家の近くに最近できた荒川を渡る橋は両岸の地名である砂町と清新町から一字ずつとって清砂大橋と名付けられありがたい。
 我が国は隣国から漢字を輸入して、かなというアルファベットをつくりだし、また漢字を読むために補助的に使われるカタカナを外国語の名詞に使うなど独自の工夫を行ってきた。
 日本語を大切にと言っているそばからどんどん変わっているが、ただカタカナ語の増加は外国語の学習に有益であるので、国際化の見方からはどんどんカタカナ語の導入を増やした方がいいかもしれない。一方で、ナイター、マニフェストをはじめ辞書ができるほど多くなったものの、国際的に通用しないカタカナ語は排除していくべきである。
 また、ただでさえ習得が難しい漢字について、常用漢字が2010年の改訂で1割も増え2136字になってしまったが、今後減らしていくことを考えていくべきではないだろうか。
 言葉は時の経過によってどんどん変わっていく。百年の大計を考えたあるべき方向を決めていくことも必要だろう。