逆転の思想−186        目次
              水道公論2019年2月号


 テレビ広告の変化
 最近のテレビ広告を見ていると全く知らない企業が頻繁に登場したり、業務に関係ないような内容であったりと、様変わりしているように思う。昔は耐久消費財、食品、生活用品など名の知れた企業ばかりであった。
 テレビに企業広告を出せるのはそれだけの利益が上がっているからなのだろうか。儲けすぎと言われている携帯電話会社や定期的に入らないといけない自動車損害保険(こちらも高収益なのだろうか)などの広告の多いのはわかるが、製品単価が少額である拡大眼鏡販売会社が頻繁に宣伝しているのが気になる。一度買ってしまえばそれで終わりの商品なので、企業広告をけっこう出す財源はどうなっているのだろう。トラック運転手不足なのに引越輸送会社の宣伝が多いのも気になる。
 インターネットの広告が増えて、テレビ広告費が値下がりしているのだろうか。最近タレントが何人も並んで座り、放映時間中各自少しだけ話すという番組構成が多い。いるだけでも出演すると相当の時間を取られるので、ある程度の出演料は必要になるだろうから、少ない広告料のなかでできるだけタレントの収入を確保しようというものだろうか。また、コマーシャルを挟んで同じ映像をダブって流していたり、カウントダウンを入れて時間延ばししているのも制作費が減っているからなのだろうか。
 具体に売りたいものを説明しないで企業の名前だけでセールスポイントが何なのか分からない広告も増えている。数百億円という巨額の仮想通貨盗難にあった会社が頻繁に名前だけの広告を流していたのを思い出す。こういう記憶はテレビのコマーシャルが当てにならないという印象を強く植え付けることとなる。
 また、あちこちに登場する洗濯柔軟剤や室内殺菌剤などは香りが長持ちするとか、使わない場合衛生環境が悪いとか、汚れが簡単に落ちるとかなど強調しすぎるように感ずる。広告通りであったら満員の朝の通勤電車は香りがきつすぎてひどいこことになるのでないだろうか。このように、昔はなかったようなどぎついものが増えているようである。
 一方、ネット広告はどんどん増えているようであるが問題も多い。ふるさと納税に見せかけてお金をだまし取ったり、パソコンを乗っ取ったり、閲覧したと不当な料金を請求したりの犯罪や個人情報の横流しだけでない。
 ネットで商品を調べたあと別のページを見ていると、以前見た商品の広告が入るのが気味が悪い。また、勝手に飛び込んでくるニュースの表題を見てクリックすると、最初に広告が出てきて排除可能なものも多いが、その広告は見たいことを邪魔する形になり、悪印象を与えるだけに思える。テレビでコマーシャルに時間を取られるのはあまり気にならないが、ネットで視界を邪魔するような広告が入るのに拒否感が強いのはこれまで、あまり目立たなかったためと思われる。ただほど高いということを肝に銘じておかなければならない。