地球環境のためどういうことをしたらいいのだろう(2000.5/2018.8改訂)
日本で発生する二酸化炭素の相当部分は産業界からですが、産業界は競争のため省エネが極度に進んでいて削減が非常に難しいことがあります。鉄鋼など重厚産業から三次産業へのシフトによって減ることは減りますがその分地球のどこかで生産が移るだけのことです。
実現がある程度できそうなのが民生分野です。家庭用のエネルギーである電力、暖冷房、交通などが考えられます。使っている商品を長持ちさせる。リサイクルの推進などによって結果的に産業界での省エネルギーにつながっていきます。
●身近な例で考えると
乗用車の燃料消費量はガソリン1リットルあたり15kmくらいですね。これから計算すると車が1km走る毎に約150gの二酸化炭素を作り出すことになります。160kmくらい走ると24kgと一人一日当りの化石エネルギーによる二酸化炭素排出総量25kgと同じくらいになります。
風呂を沸かすことによる二酸化炭素排出量を計算してみましょう。風呂の容量を160リットルとすると、25度c加温するのに、4000キロカロリー必要です。天然ガスの8割が炭素、2割が水素とすると、1gの燃焼で2.9gの二酸化炭素がでてくることになり、熱のロスを25%とすると沸かすのに使われる280gのガスから1000gの二酸化炭素が排出されることになります。 一回節約することの効果は、一人一日当り化石エネルギー全二酸化炭素排出量の4%程度です。これから細かい努力の積み上げが大事になりそうです。
●自動車と公共輸送機関
自動車 | いつでもどこにでも出かけられる。 |
公共輸送機関 | エネルギーが少なくてすむ |
自動車に普及により地方都市では電車やバスに乗る人が少なくなり、赤字のため運転本数を減らしたり、廃止したりして非常に便利が悪くなっています。またバスの乗客が1人、2人と少ないときは省エネになりません。
しかしやはりできるだけ移動には電車やバスを使いましょう。
地方都市の電車は運転本数が少なくて待つ時間が多いし、大都市の電車はいつも混んでいてサービスも悪くいい感じがしません。これだけ情報化が進んでいるのですから電車を待つことや、乗ることが楽しいようにする事はわけないと思いますが。
自動車のある家とない家では二酸化炭素発生量が2〜3割違うようです。
●ハイブリッドと電気自動車
環境に良いと言われる両者ですが、走行によるCO2消費量を概算してみました。電力生産のため発電所などが働いていて、CO2は発生するし電気代もかかります。電気自動車を昼間に充電すると電力単価が高いのでガソリンとあまり変わらなくなるそう。
1リットルのガソリンで普通自動車は15km、ハイブリッド自動車は20km走行するようです。
電気自動車の走行距離当たり消費電力は0.1kwh/km程度ですが充電や蓄電池のロスなどあるでしょうから0.12kwh/kmとすると20km走行で2.4kwhとなります。
CO2発生量はガソリンでは2.3kg/リットル、また電力生産では0.5kg/kwhですので、
20km走行するとハイブリッド車では2.3kg、電気自動車ではおおよそ半分の1.2kgのCO2が排出されることになります。
ヒートアイランド問題や排ガス問題のほかCO2発生量でも電気自動車の貢献が期待されますが、走行に伴ってCO2はけっこう増えるので無駄な走行は控えることが肝要です。
参考にしたHP
http://blog.evsmart.net/electric-vehicles/bev-electricity-cost-vs-gas/
https://e-nenpi.com/enenpi/enenpi?defact=carname_engine_best_case5
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1211/21/news024.html
http://www.env.go.jp/press/files/jp/109569.pdf
●街のコンパクト化
欧州の街のように居住密度を高くしていくと物資や人の輸送距離が短くなり、徒歩や自転車の利用も増え、輸送によるCO2削減が図れます。
●朝しゃんを控える
昔と比べ現代人の入浴回数は増加しています。朝晩入浴する人もいます。このため水道、下水処理また温水供給のためのエネルギーが増えています。清潔さを保つ必要はありますが、入浴をもう少し減らすことはどうでしょうか。下水処理水の比率が高い多摩川はお湯の量の増加によって水温が上がっています。
●食べ残しをしない
日本人の食べ物によるカロリーは平均2000キロカロリー/日です。ところが食べ物の総供給カロリーはこれの3割くらい多いようです。食べ残しやコンビニで賞味期限が切れて捨てられる食べ物が多いようなのです。食料を大事に食べればその生産、輸送、廃棄物処理に使われるエネルギーを減らすことが出来ます。
●海外旅行を控える
長時間ジェット機に乗ることが問題です。ヨーロッパまでいくのに大型ジェット機でも乗客一人あたり片道400kgもの燃料を使います。往復で一人あたりの二酸化炭素発生量は2トンにもなります。これは日本人一人あたり年間二酸化炭素発生量の2割になります。できるだけテレビの旅行番組やインターネットを利用して海外旅行した気分になるようにしましょう。でも難しい。
●一戸建てと集合住宅どちらがいいのでしょうか
一戸建て | エレベーターが不要、屋根に太陽光発電のパネルが取り付けられる。 |
集合住宅 | 高層ならば土地が有効利用できる。10階程度のマンションだと500人/haと一戸建て(100人/ha)の5倍の人口密度にできる。このため道路や屋根などが節約でき広い面積の土地を緑地などに活用できる。 2階以上の住居は下の家からの暖気で暖房費が相当節約できる。風も入るので冷房の電力も節約できる。 |
10階の集合住宅を考えます。平均階高は6階として生活に必要な水一人あたり300リットルを15mポンプで送るのに0.02kwhの電力が必要になります。エレベーターも電力を消費します。しかし、集合住宅の2階以上の階ではどこでも下の階から暖かい空気が上がってきてあまり寒くないという話を聞きます。私のところでもそうでした。でも前住んでいた集合住宅の一階は寒かった。
土地の活用や暖房費のことを考えると集合住宅の方が地球にやさしいと思いますが。
●インターネットがもっと普及すると
急速に普及しているインターネットとの関連はどうでしょうか。これは非常に貢献するものと考えます。社会経済活動で膨大な量の物資と情報の輸送が行われています。インターネットは情報の流れを非常に良くします。例えば生鮮食料品は生産地から、一度市場に運ばれそこで売買が行われて、消費者のところへ運ばれていきます。この取引が電子化して生産地から消費者のところまで直接輸送されるようになると、輸送エネルギーを減少させることができます。
また食料品のうち30%くらいが食べられないで廃棄されているようですが、需要と供給の情報を高度に処理して無駄になる食料品を減らすことが可能です。
各種の商品輸送もITによって集約化、効率化が図れます。
ビジネスでも、大量の情報を送受信できるようになると特定の地域にオフィスを構える必要がなくなり、SOHOなど通勤時間と距離を減らすことができるようになります。
このようにネット社会の進化は、物資、人、情報の輸送のなかで情報の輸送の比重を大きくし、物資と人の輸送量を削減する効果を持っていると考えられます。